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外貌醜状とは?
症状と後遺障害等級認定の慰謝料相場について

外貌醜状(がいぼうしゅうじょう)とは、頭頚部や顔面の目立つ部位に外傷痕や熱傷痕、治療痕などが残る障害を指します。傷の形状や部位、大きさなどによって認定基準が設定されていますが、特に顔面ではより高い後遺障害等級が認定されます。

また、外貌部以外にも四肢、体幹などでも上記のような各種醜状が残存した場合には、後遺障害等級が認定されます。

ここでは、外貌醜状やその他醜状障害の症状や後遺障害認定のためのポイントを解説します。

外貌醜状とは?

外貌とは「首から上の日常的に露出する部分」と定義されており、後遺障害認定基準では頭部、顔面部、頚部の3つに分類されています。また、眉毛や頭髪などで隠れる部分は外貌醜状に該当しない点には、注意が必要です。

後遺障害等級認定の対象となる醜状とは、第3者が醜いと感じるもの、すなわち人目につく程度以上の傷や痣のことを指し、瘢痕や色素沈着の程度や部位、形態などを後遺障害認定基準と照合し、総合的な判断が行われることとなります。

代表的な外傷としては①外傷、熱傷に伴う皮膚瘢痕や色素沈着、②創縫合や手術に伴う線状痕、③骨欠損や骨陥没に伴う皮膚陥凹、④耳や鼻の軟骨欠損、⑤顔面神経麻痺に伴う口の歪み、などが挙げられます。

外貌醜状の主な治療法

外貌醜状として代表的な皮膚瘢痕やケロイドの場合、抗アレルギー剤の内服や、抗炎症剤の外用(軟膏・クリーム・テープ)による治療が一般的です。また、効果が乏しい場合にはステロイドの注射療法、外科的手術療法、レーザーや放射線の照射療法を施行するケースもあります。

骨・軟骨の欠損による外貌醜状に対しては、周囲の皮膚や自家骨軟骨を利用した各種形成手術の適応となる場合が多く、顔面神経麻痺の場合には抗ウィルス剤や抗炎症剤の投与に加え、リハビリテーションが行われます。

外貌醜状の治療期間

一般的に皮膚瘢痕やケロイドに対する治療期間は長期にわたるとされており、 最低でも半年から1年以上の治療期間を要し、外科的手術を行った場合にも、術後1年程度の経過観察通院を行う必要があります。

高次医療機関の場合、「(経時的に改善が見込まれるので)しばらく様子を見ましょう」という医師の判断のもとに通院が不要とされることもありますが、後遺障害認定の観点からは、形成外科や皮膚科を標榜するクリニックへの紹介または自己受診を継続し、定期的な経過観察を行うことが望ましいです。

通院

後遺障害等級を認定してもらうために必要な手続き

まず、醜状障害を認定してもらうための大前提として、後遺障害診断書に「挫創」「挫滅」「切創」といった初回受傷時の病名および状態が記載されていることが必要となるので、注意が必要です。

その上で、最終診察時における病態を記載した後遺障害診断書の作成を主治医に依頼し、等級認定審査に臨む流れとなります。

醜状障害は総合的な判断を要するため、明らかに該当/非該当の判断が可能な場合を除き、等級審査の際には自賠責調査事務所での面談調査が行われることとなっていますが、面談調査の施行要否に関しては自賠責審査側が判断するようです。

外貌醜状の後遺障害等級と慰謝料の相場

外貌醜状で後遺障害等級が認定されるケースは以下の3種類です。

症状等級自賠責基準弁護士基準
外貌に著しい醜状を残すもの7級12号419万円1,000万円
外貌に相当程度の醜状を残すもの9級16号249万円690万円
外貌に醜状を残すもの12級14号94万円290万円

外貌醜状は、同じ大きさの傷跡でも、顔面かそれ以外(頭部や首)かによって認定される等級がかわります。

具体的には、「外貌に著しい醜状」とは、頭部や首は手のひら大以上の瘢痕または頭部の欠損になっているのに対し、顔面は鶏卵大以上の瘢痕または10円硬貨大以上の組織陥没となっています。(この場合の手のひら大とは被害者自身の手のひらを指し、鶏卵大とは一般に市販されている鶏卵の大きさを指します。)

また、「外貌に醜状」の場合、頭部と首に残った鶏卵大以上の瘢痕、または頭蓋骨の欠損。または、顔に残った10円硬貨以上の瘢痕または長さ3センチメートル以上の線状痕となっており、顔面のほうが認定等級が高くなることがおわかりいただけると思います。

なお、「相当程度の醜状」とは、顔面に残った長さ5cm以上の線状痕のみが該当します。

外貌醜状の逸失利益はどうなるのか?

外貌醜状は機能的な問題を伴わないことが多く、そのようなケースでは労働能力に直接的な影響を及ぼすことがないため、「逸失利益を認めない」と主張する保険会社も散見されます。しかし、醜状の部位や程度、また被害者の年齢や職業によってはそのまま仕事を続けられないことや、精神的に継続できない場合も多々あるのが現状です。

このような場合、さまざまな要素を考慮して逸失利益が認められることになりますので、保険会社の主張を鵜呑みにせず、あきらめないことが重要となります。

また、瘢痕や手術痕周囲に疼痛やしびれ、知覚異常、つっぱり感、掻痒感、などの具体的な症状が残存している場合には、障害に随伴する神経障害が存在するとして遺失利益の認定に繋がる可能性があります。何らかの症状が残存する場合には、必ず後遺障害診断書へ記載してもらうようにしましょう。

保険会社の主張を鵜呑みにせず、あきらめないことが重要

外貌醜状における注意点

外貌醜状は顔面であれば、頭部や首に比較して高い等級が認められます。そのため、各部位の欠損として申請をするより、外貌醜状とした方が有利な結果になることがあるわけです。

たとえば鼻の後遺障害の場合、「鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの」は9級5号が適用されますが、「10円硬貨大以上の組織陥没」の外貌醜状が適用されれば7級12号となり、後遺症慰謝料の額は上がります。どのような戦略で進めるべきかを弁護士などと相談し、納得できる方法を探ってください。

その他醜状障害とは?

前述の外貌障害と同様に、上肢または下肢の露出面や非露出部においても醜状障害が認定されるケースがあります。

上肢または下肢の露出面とは上肢は肩関節以遠、下肢は股関節以遠と定義されており、手背や足背も露出面に含まれます。労災基準では上肢が肘関節以遠、下肢が膝関節以遠と定義されているところ、交通事故自賠責保険では露出部がより広範囲の定義となっています。

上下肢露出面の場合、四肢に手のひら大以上の瘢痕または線状痕が存在する際には14級5/6号、四肢に手のひら大の3倍以上の瘢痕がある際には12級相当の認定となります。なお、12級の認定においては複数の創部面積を合算可能なものの、少なくとも1箇所は手のひら大以上の創部が残存している必要があります。

また、非露出部とは衣服に覆われている体幹部、すなわち頬部、腹部、背部、殿部がそれに該当します。非露出部の醜状に関しては該当する系列が存在しないため、別表第二備考6に沿って障害が認定され、胸腹部または背殿部全面積の1/2以上に瘢痕を残した際には12級相当、1/4以上に瘢痕を残した場合には14級相当という認定となります。

その他醜状障害における注意点

代表的な外傷や治療法は外貌醜状とほぼ同一であり、等級認定に必要な手続きに関しても外貌醜状に準ずる形となりますが、四肢の醜状障害について抑えておくべきポイントが2つあります。

まずは、「採皮部や植皮部が醜状に該当する可能性がある」という点です。四肢軟部損傷を伴う外傷の治療では皮膚損傷や皮膚壊死に対して遊離皮膚移植が施行されるケースがありますが、その際には大腿部や腹部から皮膚を採取します。特に大腿部では採皮部の面積が手のひら大を超えることは珍しいものではなく、損傷部や植皮部の面積を合算すると12級に該当するケースが散見されます。

もう1点は「四肢醜状障害に伴い、神経障害や関節機能障害を併発する可能性が比較的高い」ということです。上肢または下肢では皮膚とその深層にある筋肉が近接していることから、皮膚の醜状障害部位の周囲で皮下の神経や筋肉が癒着をきたし、神経障害や機能障害の原因となりえます。このことは遺失利益を主張する際には重要なポイントとなりますので、特に注意が必要です。

外貌醜状およびその他醜状障害の等級認定におけるポイント

後遺障害等級認定における最大のポイントは、後遺障害診断書において醜状の部位や大きさ、程度をわかりやすく記載してもらうことです。

一般的な後遺障害診断書の書式では詳細な記載が難しいことから、2016年に「交通事故受傷後の傷跡等に関する所見」という醜状障害に特化した書式が新設されています。皮膚科や形成外科といった専門科以外の診療科医師は外貌醜状の後遺障害診断書を記載する機会がほとんどなく、前述の書式の存在を知らないこともあります。外貌醜状における症状固定の際には必ず同書式を用いた後遺障害診断書の作成を主治医に依頼するようにしましょう。

受傷後から治療期間において定期的に創部の写真を記録しておくことも大切です。外傷と醜状障害の因果関係を証明するにあたり、有益な資料となる可能性があります。

また、醜状障害では初診医と症状固定時の主治医が異なる事例が多く、前者は「症状固定時の状況がわからない」、後者は「初診時の状況がわからない」ことを理由に後遺障害診断書への傷跡や醜状の記載を拒否されるケースがしばしばありますが、創部の経時的な写真記録を担当医に提示することで、このような事態を回避することができます。

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